一般に日本料理は、関西は薄口醤油を使った薄味、関東は溝口醤油を使った濃味といわれるが、これはどうしてか?
かつて、まことしやかにいわれたのが、「関東人= 田舎者= 塩気を好む説」である。
戦国時代、関東は田舎だった。田舎者の仕事は、農業などの肉体労働が主。肉体労働で汗を流せば、どうしても塩分の多い食事が食べたくなる。
だから、関東では濃い醤油味の料理が一般的になった。その点、関西は、雅びやかな知的階級の人間が文化をリードしていたため、その食事も上品な薄味になったというわけである。
もうひとつは、「水の質」が違うからという説。関東の水は「硬度」が高く、カツオのダシがとりやすい。ただ、カツオのダシは、どうしても濃くなるため、それに見合うよう濃口醤油を使わないと、カツオ臭くなってしまう。だから、関東の料理は濃い醤油味になった。
一方、関西の水は「硬度」が低く、昆布のダシをとるのに適している。昆布の香りはデリケートだから、溝口醤油を使ってしまっては、台無しになる。そこで、薄口醤油が使われるようになり、自然に薄味になったというわけだ。