体質や体力、帰・血・水のバランスなどに合わせないと副作用が出る
「証」を間違えると、副作用が出る恐れがあります。「証」とは、中医学・漢方医学の治療指針となるもので、西洋医学で言うところの病名(診断名)に相当するものです。
1996年には、漢方薬の副作用で10人死亡という大きなニュースがありました。慢性つ肝炎、肝硬変の患者さんに、肝炎などに効くとされる漢方薬の「小柴胡湯」を処方したために、問質性肺炎になって亡くなったということでした。
慢性肝炎の患者さんに肝炎に効く薬を処方して、どうして亡くなったの? と疑問に思う方がいるかもしれませんが、それらの患者さんはほとんどがお年寄りで、体力のない人たちでした。「小柴胡湯」は体力のある人用の薬だったため、薬が強すぎて亡くなってしまったのです。
肝臓疾患
西洋医学の薬をメインに処方されている医師の場合、漢方でもっとも大切である「証」を診断しないで、「この症状にはこれ」といった西洋医学的な病名処方をする場合があります。しかし、症状が同じでも、患者さんに体力があるかないか、体質は除か陽か、気血水のうちどこのバランスが崩れたためにその症状が起こつているのかなど、患者さんひとりひとりに合わせて薬を処方するのが漢方なのです。
自分の「証」に合っていない漢方薬を飲むことは、効果がないばかりか副作用が現れる心配もあります。漢方薬を飲む場合は、漢方の考え方にのっとった診察方法で、「証」をしっかり診断できる医師のもとで処方してもらうことです。
また、医師ではありませんが、漢方薬局の薬剤師さんは漢方についてよく勉強していますので、自覚症状を話し相談しながら、安心して漢方薬を処方してもらえます。
ただし、薬局で処方される薬は、医師が処方する薬よりも効き目が弱く、薬効は半分程度。それは、万一副作用が生じたとき、医師なら適切に対処できるから…という理由だそうです。