夏は誰もが疲労しがちですが、疲労が残らない人と残る人がいます。いつまでも疲れのとれない人や、体の芯に疲労感があって元気が出ないという人が疑わなくてはならないのはビタミンB群不足です。
B 群のビタミンには、ビタミンB1、B2、B6、B12パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン、イノシトールなど10を超える種類がありますが、それらが一緒にとられたときに効果が高くなります。
それでB群のビタミンはばらばらにではなく、全部が一緒になった複合体でとることがすすめられていて、ビタミンB群の複合体のことを英語ではBコンプレックスと呼んでいます。
B コンプレックス源となる食品を挙げると、レバー、アルファルファのもやし、レタス、ほうれん草、さやいんげん、さやえんどうなどの野菜類、アボカド、きのこ類、ビール酵母、花粉などがあります。つまり、それらが夏を乗り切る鍵となる食品です。
全身の細胞内でエネルギーが生み出されるためには十分にB コンプレックスが存在していなくてはいけません。B コンプレックスが不足していると、燃料となる炭水化物が完全燃焼できないからです。
そのためエネルギーのレベルが落ちて疲労感が生まれるのです。そのうえ燃焼でき悪い食事とよい食事なかった燃料は脂肪に変えられて貯蔵されるので、肥満の原因にもなります。理想をいえば、エネルギーがつねに一定して生み出されている状態が保たれていることが望ましいのですが、それには炉にたとえれば、ゆっくり燃やすのがベストです。
悪いのは一時的に火が燃えあがって、しばらくすると火が消えたような状態になることで、紙を燃やすとそうなります。木ならばすぐには火がつかない代わりに、ゆっくり燃えつづけて一定した熱がえられます。
どういう食事をしたら、そういう燃え方になるのかを考えてみると、まずB コンプレックスが十分にとれていることは必須です。これが不足していると燃料がよく燃えないのだから必須です。
しかし、B コンプレックスがあっても紙のようなものを燃料にしていたのではエネルギーの安定供給は望めないので、木をとる必要があります。
では、どういうものが紙なのかというと、砂糖や精白した小麦粉など、精製した炭水化物です。それらを主原料にした菓子類や加工食品を食べると、すぐに燃えて高いカロリーがもたらされるけれども、持続してエネルギーを供給してはくれません。
木にあたるのは精製していない穀類や豆類や果物などで、それは多種類の成分がからみ合った炭水化物の複合体をなしているため、消化には手間どるけれどもゆっくり吸収されてエネルギーを安定供給してくれるのです。
だからこれと多種類の野菜が組み合わされれば(それでB コンプレックスがとれる)、エネルギーを安定供給して夏パテを防いでくれる食事になるわけです。
世界を見回すと、スペインのガスパチョ(生野菜のスープ)や、メキシコのアボカドのサラダなど、さすがに暑い国には、まさにそういう食事を組み立てる料理がちゃんとあるのです。それと対照的なのがわが国の冷やそうめんです。そうめんは精製した小麦粉の製品、つまり紙です。
しかもB コンプレックスを組み合わせる工夫もされていないのだから、それで暑さをしのいでいたのでは夏パテをしないほうがおかしいわけです。