脂質異常症を改善して動脈硬化の進行を抑制
タマネギには、脂質異常症(血液中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪などが異常に増え、善玉(HDL)コレステロールが減った状態を改善して動脈硬化を防ぐ効果も確認されています。
血液中に悪玉コレステロールや中性脂肪が増えすぎると、動脈硬化の進行が早まり、高血圧や狭心症、心筋梗塞を招く大きな原因になります。こうした脂質異常症の改善にタマネギが効果を発揮することは各国の研究で確認されており、インドで行われた試験によれば、脂質異常症の治療薬より改善効果が大きかったという報告もあります。
8割もの人の総コレステロールの低下を確認
脂質異常症に対するタマネギの効果は多くの実験の中で明らかにされています。まず、糖尿病の患者さん22人に、タマネギの凝縮サプリを毎日摂ってもらいました。なお、22人のうち15人は脂質異常症を伴っており、心血管系の合併症がある人は180mg/dl以上を、肥満や高血圧などの危険因子がある人は200mg/dl以上を、危険因子のない人は220mg/dl以上を「総コレステロール値が高い」と判断しています。
20週にわたる試験の結果、総コレステロール値の高かった15人のうち12人(80% )に総コレステロール値の低下が認められ、そのうち8人は目標値まで低下していました。
総コレステロール値の変化を過ごとに見ると、平均220mg/dlの総コレステロール値が8週で明らかに低下し、12週以降では200mg/dl以下に保たれたのです。
また、同じ試験で22人のうち16人は中性脂肪値が150mg/dl以上 の高い状態でした。しかし、濃縮たまねぎのサプリをとることで14人(88%)の中性脂肪値が低下し、そのうち4人は目標値の150mg/dl未満まで低下しています。
中性脂肪値の変化を週ごとに見ると、平均250mg/dl以上の中性脂肪値が4週で明らかに低下し、8週でやや上昇したあと、12週で著しく低下し、それ以後は200mg/dl前後に保たれています。
この試験結果からも、脂質異常症の改善が期待できるたまねぎの量に換算して1日に約4分の1個でした。みなさんもタマネギを主菜や汁物の材料に加えたり、サラダにしたりして毎食の料理に活用してください。
心臓病の発症率は半分に
タマネギは、高血圧に対しても優れた効果を発揮します。
イギリスのハレンベルク博士が行った試験では、高血圧の20人に濃縮たまねぎのサプリを4週間にわたって摂取してもらったところ、最大血圧が平均で136.5mmHGから125.5mmHGに、最小血圧は86mmHGから80mmHGに低下しました。
たまねぎは、少量ながらカルシウムやカリウム、マグネシウムなど降庄作用のあるミネラル(無機栄養素)を含んでいるほか、たまねぎ特有のイオウ化合物も血液をサラサラにして血栓(血液の塊) ができるのを防ぎます。
こうした成分の相乗効果によつて、先ほど紹介した脂質異常症の改善効果や降圧作用が働いたのだと考えられます。また最近になって、タマネギには高血圧に関係するACE( アンジオテンシン変換酵素)の作用を強力に抑える働きがあることもわかりました。
さらに、たまねぎに含まれているフラボノイド(植物の色素化合物)のケルセチンには、悪玉コレステロールが血管に付着するのを防ぐとともに、血管を拡張させる働きがあることも認められています。実際に、オランダの研究によれば、ケルセチンなどのフラボノイドを日ごろから多めに摂取していた高齢者は、摂取量の少ない人に比べて心筋梗塞の発症率が約2分の1、死亡率も約3分の1に減ったと発表しているので、心臓病予防の観点からもタマネギの常食がすすめられます。