糖尿病や腎臓病を悪化kさせる犯人であるAGEは体の中で作られるだけでなく食品にも含まれており腸から吸収されます。
糖とたんばく質が結びついてできるSGE(終末糖化産物)は、私たちがよく口にする食品にも含まれています。実は、AGEは医学界で有害物質と認められる以前に、食品化学の分野で知られていたのです。
食品が焦げると褐色に変化し、香ばしいにおいが立ちのぼってうまみが増します。糖とたんばく質をいっしょに加熱したときに生み出される褐色物質(AGEの一種 は、食品の色づけや香りづけ、うまみの増幅などに利用されてきたのです。
ところが最近になって、体内で糖とたんばく質が結びつくとAGEができることや、体内のAGEは、動脈硬化をはじめ、さまざまな病気の発症にかかわることがわかってきたのです。
飲食物に含まれるAGEをとると約1割が腸管から吸収され、そのうちの約0.6~0.7割 はある程度の期間、体内に蓄積することが確かめられています。
健康なラット(実験用のネズミ) にAGEを多く含む飲料を飲ませる動物実験を行った結果、肝細胞にAGEが蓄積されることを突き止めたのです。
米国のある研究グループは、45歳以下と60歳以上の健康な人の血液を測定。AGEが多く含まれている食品を食べている人ほど、血液中のAGEが増えることを発見しました。
別の研究グループでは、糖病の患者さんで腎機能が正常な人を2グループに分けて、それぞれにAGEの含有量が多い食事と少ない食事をとってもらいました。
その結果、高AGE食グループは約2週間で血液中のAGEE量が増えたのに対し、低AGE食グループは逆に血液中のAGE量が減ったという報告が出ています。
以上の調査からもわかるとおり、AGEは体内で作られるだけではなく、食品からも体内に持ち込まれて一部が残り、血液中のAGE濃度を上昇させるのです。食事から摂取して血液中に増えたAGEは全身に運ばれます。そして、代謝(古いものと新しいものの入れ替わり) に影響を及ぼしたり、血管壁を傷めつけたりして動脈硬化を進行させると考えられています。
体内にAGEを増やさないためには、食べすぎに注意して血糖値の急上昇を防ぐことが肝心ですが、AGEを多く含む食品をとりすぎないことも大切です。では、どのような食品にAGEが多いのでしょうか。
動物性脂肪の多い食品を焼いたり揚げたりする調理法はAGEが多く作られてしまう
まず注意したいのは、肉や魚などを加熱したときに生じる焼きめや焦げめ。香ばしい褐色の部分がAGEそのものなのです。特に、動物性脂肪の多い食品を高温で焼いたり揚げたりすると、AGEはたくさん作られます。
反対に、水を多く使って低温で煮たりゆでたりすれば、AGEの生成が少なくてすみます。具体的にいうと、調理過程でAGEが多く作られる料理はステーキや唐揚げ、やきとり、フライなど。AGEが作られにくいのは、しゃぶしゃぶぶやさしみ、なべ物など。
ファストフードや加工食品も、短時間で高温加熱処理されたものが多いため、調理過程でAGEが増加していることが多いのです。
ところで、肥満が糖尿病の重大原因です。清涼飲料水の中には、体内に入るとAGEに変質しやすい性質を持つ糖(フルクトース、コーンシロップ)が、甘味料として使われていることが少なくありません。したがって、高血糖対策には摂取カロリーを控えて肥満防止だけに目を向けるのではなく、AGEが少ない食品や、できにくい調理法を選ぶことも大切なのです。
具体的には、大食い、早食い、間食といった悪い食習慣は改め、規則正しく食事をと、よく噛んでゆっくりと食べるようにするのです。
間食をすると、食後に上昇した血糖値が下がりきらないうちに甘いものが入ってくるので、長時間にわたって高血糖の状態が続き、AGEが作られやすくなります。甘味をとるならば、食後のデザートとして、少しだけ食べる方法がおすすめです。