虫歯だけでなく歯周病でも死亡する可能性がある
歯周病や虫歯などの菌が、血管を通って心臓や脳にたどり着き、心臓病や脳卒中を引き起こすことがあります。また、肺炎の原因菌と一緒に気管を通り、気管支炎や肺炎を引き起こし、場合によっては死亡することがあります。
「感染性心内膜炎」は、心臓の内部に細菌や真菌が感染して、弁膜が障害を受ける病気です。菌の感染経路としては歯からが多く、虫歯や歯槽膿漏、抜歯の後などに菌が体内に侵入し、心臓内部で菌が繁殖します。もともと弁膜症を持っている方や、心臓に生まれつき穴が開いているなどの「先天性心疾患」の方がかかりやすい病気です。
感染性心内膜炎の主な症状は、高熱です。菌が心臓の弁膜にくつついて炎症を起こして、弁の破壊が進むと弁の閉鎖不全が起こり、最終的には心不全症状が現れます。
また、菌の塊が弁に繁殖し、その一部が心臓から全身の血管に飛ぶことによって、「梗塞」の症状を起こします。脳血管に飛べば、脳塞栓を起こし、腎臓に飛べば腎梗塞、脾臓に飛べば牌梗塞を起こします。手足の先まで飛ぶことも多く、皮膚に斑点が出てくることがあります。
主な治療方法は、抗生物質の投与です。多くはペニシリンを大量に点滴します。弁膜の破壊がひどくて、心不全が進行するときに手術の適応となります。
予防法はなんといっても、口の中をキレイに保つこと。食後の歯磨きや舌苔(舌の汚れ)を拭い落とすことが大切です。
それから、定期的に歯医者さんに口の中の状態をチェックしてもらうことも大切。
また、もう1つ怖いのが「虚血性心疾患」です。「心筋梗塞」や「狭心症」などのように、心臓に十分に血液がいきわたっていない状態を虚血性心疾患といいます。
歯周病菌が血液中に入り、心臓の血管壁に炎症を起こして動脈硬化を起こしている可能性もあります。虫歯や歯周病は、全身の病に影響するのです。先進国で日本人が一番、歯のメンテナンスに力を入れていない国だとか。もっと歯を意識して生活していただきたいと思います。